AI

経理をExcelで自動化|AI・関数・マクロの実務使い分け

※本記事にはプロモーションが含まれています。

こんにちは、会計×AI.com運営者のコマニです。

経理の現場で「Excelを自動化したい」と思っても、関数、Power Query、マクロ、生成AIと選択肢が多く、どこから手をつけるか迷います。とりあえずVBAを学ぼうとしたり、AIにブック全体を書き換えさせたりすると、動いても引き継げない仕組みになりがちです。

実務で大切なのは、道具の機能ではなく、作業の性質を見分けること。定型計算は関数、毎月繰り返すデータ加工はPower Query、決まった画面操作はマクロやOffice Scripts、数式・コード・テスト項目の下書きは生成AI、と役割を分けると保守しやすくなります。

そして、原本を直接書き換えない、入出力の件数と合計を比べる、差分を別表に出すといった検算が欠かせません。この記事では、2026年8月時点のMicrosoft、freee、経済産業省の公式情報を踏まえ、Excel中心の経理を安全に自動化する手順を解説します。

  • 関数・Power Query・マクロ・AIの役割分担
  • 経理Excelで自動化しやすい作業
  • 原本と会計データを守る検算方法
  • Excelからクラウド会計へ移す判断軸

経理Excel自動化の結論

結論から言うと、経理のExcel自動化は、一つのツールで完結させるより、入力、変換、計算、出力、確認に分けて道具を割り当てるほうがうまくいきます。数式だけで複数ファイルを結合しようとするとセル参照が複雑になり、マクロだけで全てを処理すると、作った人がいないと直せなくなります。

作業の性質 第一候補 経理での例 主な注意
決まった計算・参照 Excel関数 税込・税抜、マスタ参照、月別集計 直接入力で数式を消さない
反復する取込・加工 Power Query CSV結合、列名統一、型変更、重複除外 元ファイルの列変更を検知する
決まったExcel操作 マクロ・VBA 帳票分割、PDF出力、シート複製 実行範囲、署名、テストデータを用意
クラウド上の操作連携 Office Scripts 表の書式統一、チェック、Power Automate連携 契約・管理者設定・実行制限を確認
数式・コード・手順の下書き 生成AI 関数案、Mコード案、VBA案、テスト項目 原本で試さず、結果を人が検算

最初に「作業」を数える

自動化を始める前に、月次作業を「ファイルを開く」「列を追加する」「日付の形を変える」「マスタで取引先コードを引く」「合計を元資料と比べる」という粒度まで分けてみてください。同じ手順が毎月出てくるなら、そこが候補です。

反対に、摘要を読んで取引の背景を確かめる、資産計上の要否を検討する、社内の承認者に事情を聞くといった作業は、Excelの機能を増やしても消えません。そこは「自動化する」のではなく「確認対象を絞る」と考えます。

ツールより検算を先に決める

自動化の成否は、処理が速く終わるかではなく、間違いに気づけるかで決まります。開始前に「入力件数と出力件数が一致する」「入力金額と出力金額の差がゼロ」「貸方合計と借方合計が一致する」「参照できないコードを別表に出す」など、合格条件を書いておきましょう。

コマニの実務ポイント
「ボタンを押せば終わる」だけでは引き継げません。入力元、出力先、例外の出力先、検算値、戻し方が一枚で分かるようにします。

関数とテーブルで固める

関数は、条件と答えが決まっている作業に向いています。先にExcelテーブルと入力規則を使い、「人が入れる列」と「数式が入る列」を分けると、マクロへ進まなくても多くの転記を減らせます。

セル番号ではなく列名で参照する

通常のセル範囲は行が増えると参照が外れることがあります。テーブルにすれば、新しい行に数式と書式が引き継がれ、「金額列」のように列名で参照できます。後から見ても式の意味が分かりやすく、範囲の更新漏れも防げます。

入力列は背景色を変え、数式列は保護するとよいでしょう。作った人には当たり前でも、翌月に他の担当者が更新すると、どこへ入れてよいかは分かりません。入力規則のリストとエラー表示を使えば、表記ゆれも減らせます。

SUMIFSとXLOOKUPを検算にも使う

SUMIFSは、月、部門、勘定科目など複数の条件で合計するときに使いやすい関数です。XLOOKUPは、取引先コードから名称や部門を引くようなマスタ参照に向きます。ただし、参照失敗を空白で隠すのは避けてください。「未登録」と表示し、未登録件数を表の上に出すと、マスタの追加漏れに気づけます。

関数は結果を作るだけでなく、「合計差」「未参照数」「重複数」「空白必須項目数」を表示するために使うと効果的です。出力表ができると同時に、検査表が更新される構造にします。

関数が長くなったら立ち止まる

IFの中へIFを重ね、セル参照が何段も続くブックは、小さな変更でも影響範囲を追いにくくなります。データの型を変える、複数ファイルをつなぐ、不要行を除くという作業まで関数で持ち始めたら、次のPower Queryを検討する合図です。

Power Queryで反復加工を減らす

Power Queryは、Excelに組み込まれた「データの取得と変換」の機能です。Microsoftの公式ヘルプでも、複数ソースからデータを読み込み、列の追加・削除・分割、型変更、重複除外などを手順として記録できると案内されています。一度クエリを作れば、次月は元データを差し替えて更新する構成にできます。

複数の表データをPower Queryで加工する概念イメージ
複数ファイルの取込・変換・結合は、Power Queryで手順を再利用できます。

経理ではCSVの定型加工から始める

最初の題材に向くのは、銀行、決済サービス、販売管理、経費精算などから出したCSVの定型加工です。不要な先頭行を除く、日付を日付型に変える、金額のカンマを除く、列名をそろえる、フォルダ内の同形式ファイルを結合する。こうした作業は手順が安定しています。

freee会計でも、2026年8月時点で取引や口座振替をCSVでエクスポートできます。これをExcelの分析用ブックへ取り込むようにすれば、クラウド会計を帳簿の正としたまま、Excelで社内向けの集計を作れます。ただし、エクスポート後のファイルは会計システム外の複製です。保存先とアクセス権は必ず決めてください。

元ファイルの変更に気づく仕掛けを入れる

Power Queryは手順を再実行できる一方、元CSVの列名、列数、日付表示が変わるとエラーになることがあります。エラーを無理に削除するのではなく、どの手順で止まったかを見ます。元ファイルの仕様変更なら、先にサンプルファイルでクエリを更新し、過去月のデータで同じ結果になるかを比べます。

取込時に「元ファイル名」と「取込日時」の列を残すのも有効です。出力の一行がどのCSVから来たか追えるため、差額が出たときに調べる時間を減らせます。

変換結果へ直接入力しない

Power Queryで読み込んだ表に手入力すると、次の更新で消えたり、行の並びが変わって別の取引にひも付いたりします。人が追加するメモや判定は、取引IDなど変わらないキーを持つ別テーブルに入れ、最後に結合してください。「取込表は更新専用」として、手入力するセルと分けます。

マクロとOffice Scriptsの出番

データの内容ではなく、シートを作る、書式を当てる、PDFで保存する、ファイル名を付けるといった「操作」の反復は、マクロやOffice Scriptsの出番です。Microsoftは、マクロレコーダーがExcelの操作をVBAコードとして記録すると説明しています。コードを書けなくても、小さな反復操作から試せます。

一本の長いマクロにしない

会計データを取り込み、加工し、帳票を作り、PDFで保存し、メールまで送る一本のマクロは、途中で止まったときの切り分けが難しくなります。「シート作成」「書式適用」「PDF出力」のように短く分け、それぞれ単独でテストできる形にしてください。

また、選択中のセルに依存するマクロは、実行時の状態で結果が変わります。対象ブック、シート、テーブル、列をコード上で明示し、存在しないときは処理を止めて理由を表示するようにします。

マクロを無条件で有効にしない

Microsoftの公式案内では、「すべてのマクロを有効にする」設定は推奨されていません。マクロはファイル操作や外部アプリの操作もできるため、出所の分からないファイルを安易に実行しないことが大切です。

社内で使うなら、コードの所有者、保存場所、レビュー日、対応するExcel版、変更履歴を残します。管理部門がある会社は、電子署名、信頼済み発行元、管理者ポリシーの運用も検討してください。

共有とクラウド連携はOffice Scripts

Office ScriptsはExcel for the web、Windows、Macで操作を記録し、TypeScriptベースのコードで拡張できます。スクリプトを組織内で共有したり、Power Automateから実行したりできる点が特徴です。チームで同じブックを使う、OneDriveやSharePointに保存している、メールや承認フローとつなげたいという場合の候補です。

ただし、利用できる機能はMicrosoft 365の契約とテナント設定で変わります。Power Automateからの実行には、データ量、実行時間、呼び出し回数、外部通信などの制限もあります。2026年8月時点の公式ドキュメントと社内管理者の設定を確認してください。

生成AIに任せる範囲

生成AIは、関数、Power QueryのMコード、VBA、Office Scriptsを作る支援に使えます。ただし、AIが出したコードは「完成品」ではなく「試す候補」です。MicrosoftのCopilot in Excel公式FAQも、AIの結果は誤る可能性があり、財務など敏感な領域の判断には注意が必要と案内しています。

AIには前提と期待結果を渡す

「このExcelを自動化して」だけでは、AIはセル位置や処理の意図を推測します。代わりに、入力列、出力列、不変のID、空白の扱い、重複の扱い、小数点、日付の形、エラー時の処理、成功時の件数と合計を伝えます。

さらに、「原本は書き換えない」「実行前に対象ブック名と行数を表示する」「出力は新規シートへ書く」「エラー行は別表に残す」と指定してください。正常系だけではなく、空白、重複、文字列の金額、不正な日付を含むテストデータも先に作ります。

会計原本をAIへそのまま渡さない

会計ファイルには、取引先名、口座情報、従業員情報、金額、摘要、未公開の業績が含まれます。生成AIを使うときは、会社が許可したサービスとアカウントか、入力が基盤モデルの学習に使われるか、保存期間、利用地域、管理者のログ、共有範囲を確認します。

Microsoftは、企業データ保護が適用されるMicrosoft 365 Copilot Chatのプロンプトと応答は、基盤モデルの学習に使われないと説明しています。ただし、個人向けアカウントや他社AIも同じ条件とは限りません。利用中の契約と社内ルールを確かめ、学習用の架空データから試しましょう。

原本・テスト用・出力・検算を分ける概念イメージ
AIの提案は複製データで試し、差分と検算値を人が確認します。

AIに検算項目も作らせる

コード作成だけをAIに依頼すると、処理は動いても異常を検知できません。「この処理が誤るパターンを10個挙げる」「各パターンのテストデータと期待結果を作る」「実行後に確認する件数・合計・差分を提案する」と依頼してください。生成AIは答えを作るだけでなく、人が気づいていない失敗例を広げる用途にも使えます。

原本を守るファイル設計

経理の自動化で避けたいのは、処理後に「どのデータを、いつ、どのルールで変えたか」が分からなくなることです。原本、加工用、出力、例外、検算、ログを分ければ、問題が起きても元へ戻れます。

役割 書き込み 確認項目
原本 銀行、会計、販売管理から出した元データ 上書き禁止 取得日時、期間、件数、合計
加工用 Power Queryや関数が読む作業領域 処理が作成 変換手順、バージョン、実行者
出力 会計取込、報告、突合に使う結果 毎回新規作成 件数、合計、期間、重複
例外 エラー、未参照、空白、要確認を一覧化 自動追記 対応者、理由、解決日
検算 処理前後の数が合うかを表示 数式・クエリで更新 入出力件数、合計差、貸借差、未参照
ログ 実行履歴とルールの版を残す 人または処理が追記 実行日時、実行者、対象期間、成否

原本は読み取り専用にする

マクロやAIに原本ファイルを開かせ、そのまま保存するのは避けます。原本は読み取り専用のフォルダに保存し、処理は複製や別ファイルを対象にします。ファイル名に「出力日」「対象月」「データ種別」を含めれば、同じファイルを二回取り込むミスも見つけやすくなります。

差分を隠さずに出す

不一致の行を自動で削除すると、結果はきれいに見えますが、会計上は取引が消えたことになりかねません。参照できないコード、金額が文字列の行、日付を解釈できない行、重複した行は、別の「要確認」表に出します。正常件数と例外件数の合計が入力件数と合うことも確認してください。

レビューの二者を分ける

コードを作った人は、意図した通りに動くと思って結果を見ます。できれば、業務を知る人が結果を見て、別の人が件数、合計、例外、ログを確認する形にします。一人経理なら、実行直後ではなく時間を置いて再確認するか、月次締め時に税理士や責任者が見る項目を決めましょう。

Excelのデータからクラウド会計へ移す概念イメージ
Excelでの分析と、クラウド会計での記帳・権限・履歴は役割を分けます。

30日で実務へ入れる手順

いきなり月次決算全体を自動化するのではなく、元のデータと正解がすぐ分かる作業を一つ選びます。例えば、複数支店の同形式CSVを一つにする、会計CSVから部門別の月次表を作る、取引先コードの未登録を抽出するといった題材です。

1週目は手作業を記録する

作業の開始条件、受け取るファイル、操作手順、判断箇所、完了条件を書きます。画面操作の順番だけでなく、「合計が販売管理の請求一覧と一致したら完了」のように終わりを数値で定義してください。また、通常月とは違う処理も書き留めます。

2週目は複製で自動化する

過去月のデータを複製し、関数、Power Query、マクロのうち最小の手段で作ります。手作業で作った正解と、自動処理の結果を比べます。一部のセルを目視するだけでなく、件数、合計、重複、空白、最初と最後の日付、例外件数を比べてください。

3週目は他の担当者が試す

作った人の説明なしで、手順書だけを見て別の人が実行します。ファイルの置き場所、更新ボタン、エラーの読み方、完了後の保存先が分かるかを確認します。質問された点はコードではなく、手順書やエラー表示を改善しましょう。

4週目は本番後も旧手順と比べる

最初の本番では、旧手順の結果と並行して比べます。一致したからといってすぐに旧ファイルを消さず、差分と承認記録を残してください。翌月は元データの形が変わった場合も試し、運用に乗るかを見ます。

Excelからクラウド会計へ移すサイン

Excelは、社内独自の集計、分析、一時的な突合に適しています。一方、複数人が同時に取引を登録する、証憑と仕訳をひも付ける、承認権限を分ける、口座明細を自動取得する、操作履歴を追うといった用途では、クラウド会計を台帳の正にするほうが運用しやすくなります。

同じ取引を複数のExcelブックへ転記し、どれが最新か分からない、編集できる人を制限したい、証憑の保存場所が分かれている、月次の残高突合が遅れるという状態なら、Excelに機能を足すだけでは限界があります。会計記録はfreee会計などへ集め、必要なCSVをExcelで分析する役割分担を検討してください。

Excel転記の前後をまとめて減らしたい方へ

銀行・カード明細の取込、証憑保存、仕訳候補、月次の確認まで一つの流れにするなら、クラウド会計の対象機能を確かめてください。プランと機能は変わることがあるため、2026年8月時点の最新条件は公式ページでの確認が安心です。

freee会計の最新機能を公式ページで確認する

口座・カード連携の月次運用は、freee会計の口座・カード連携ガイドで詳しく解説しています。締め日の突合まで含めたい方は、月次決算をAIで自動化する実務手順もあわせてご覧ください。

よくある質問

経理のExcel自動化に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 経理Excelの自動化は何から始めればよいですか?

A. 毎月同じ形式のCSVを開き、同じ列を加工している作業から始めるのがよいでしょう。先に手作業の正解、入力件数、合計、例外を決め、関数またはPower Queryで小さく試してください。月次決算全体や税務判断から始めると、例外が多くなります。

Q2. Power Queryとマクロはどちらがよいですか?

A. データの取込、列変換、複数ファイルの結合ならPower Queryが第一候補です。シートの作成、書式、PDF保存などExcelの操作そのものならマクロが向きます。Microsoftも、Power Queryは外部データの取得・変換、Office ScriptsはExcel中心の操作と連携に向くと説明しています。

Q3. ChatGPTやCopilotに会計Excelを渡しても大丈夫ですか?

A. サービス名だけでは判断できません。会社が許可した契約か、入力の学習利用、保存期間、テナントと共有範囲、管理者ログを確認してください。会計原本や個人情報をそのまま入れず、初期は架空データやマスキング済みデータを使います。

Q4. AIが作った関数やVBAはそのまま使えますか?

A. そのまま本番で使わないでください。複製ファイルで、通常値、空白、重複、文字列の金額、不正日付、大量データを試します。件数、合計、貸借差、例外件数を手作業の正解と比べ、他の担当者でも実行できることを確かめます。

Q5. Excelをやめて会計ソフトへ移す目安は?

A. 複数人の同時登録、権限分離、証憑のひも付け、口座明細の自動取得、操作履歴が必要になったら、台帳の正をクラウド会計へ移す時期です。Excelは補助的な分析と突合に残し、取引の登録先を一つに決めると二重管理を避けられます。

経理のExcel自動化を定着させる

経理Excelの自動化では、「何で作るか」より「どう間違いに気づくか」を先に決めてください。関数、Power Query、マクロ、Office Scripts、生成AIは、それぞれ役割が違います。定型計算、反復加工、固定操作、下書きに分ければ、コードを過度に複雑にせず、担当者が変わっても続けられます。

最初は一つのCSV加工からで構いません。原本と作業用を分け、処理前後の件数と合計を比べ、例外を別表に出す。その一本が安定したら、次の作業へ広げてください。自動化の価値は、ボタンの数が減ることだけではなく、確認すべき行が分かり、元の数へ戻れることにあります。

Excelとクラウド会計の分担を試す

Excelは社内集計に残し、取引・証憑・口座明細はクラウド会計へ集めると、転記と二重管理を減らせます。自社の口座、カード、必要な権限、CSV出力が対応するか、公式ページで確かめてください。

freee会計の最新情報を確認する

執筆者:コマニ

会計×AI.com運営者。経理歴20年。製造業・IT企業の経理部門で実務を経験後、複数の中小企業でクラウド会計とAIツールの導入を支援しています。

運営者プロフィールを見る

コマニ
コマニ

中小企業の経理現場でAI・クラウド会計の導入を支援。現場で本当に使える効率化のヒントを発信しています。

// RELATED

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です